スコッティ・シェフラー、「過去」ではなく「今」に集中 歴史的快挙にも動じずマスターズへ

ゴルフ界で今最も注目を集める選手、スコッティ・シェフラーは、マスターズでの過去の実績については意識していないと語る。2022年の優勝、そして昨年の好成績があるにもかかわらず、彼は過去にとらわれることなく、今週行われる第89回マスターズ・トーナメントに臨もうとしている。
28歳のシェフラーは、「あまり過去を振り返らないようにしているし、未来を見すぎないようにもしている」と火曜日の記者会見で述べた。「今に集中して、1週間ずつ進んでいく。それが自分のやり方。木曜日にティーショットを打つときは、他の選手と同じくイーブンパーからのスタート。昨年のことは関係ない。」
彼にとって、世界ランキング1位という肩書きも、直近3年間で2度のマスターズ制覇という実績も、今週のプレーに直接的な影響を与えるものではないという。
「もちろん、オーガスタで良いプレーをした経験を活かすことはできるかもしれない。でも、それは過去の話。今週は全く新しいトーナメントで、みんなが同じスタートラインに立っている。」
この姿勢に異を唱えるのが、シェフラーが約2年前にランキング1位の座を奪ったジョン・ラームだ。ラームは、トップの座を維持し続けるシェフラーの持続力に驚嘆する。
「常に議論されるのは、1位になることと、それを維持することのどちらが難しいかということ。でも、私は維持するほうがずっと難しいと思う」とラームは話す。「ここ3〜4年でスコッティが成し遂げたことは本当に素晴らしい。彼のショットの安定感は際立っている。」
実際、シェフラーは過去98週間のうち圧倒的な期間を世界1位として過ごしており、今週の大会で勝てば、ジャック・ニクラスに次いで史上2人目となる「4年間で3度のマスターズ制覇」という快挙を成し遂げることになる。
それでも、彼の視線はあくまで“今”にある。
「そういった記録や数字には、あまり気を取られないようにしている」と彼は語る。「自分が注力しているのは、試合に向けてしっかり準備すること。そしてプレー中は、良いメンタルで、正しい姿勢でショットに臨むこと。それが自分にとっての成功の定義なんだ。」
今週の準備について問われると、シェフラーはこう答える。
「木曜日の1番ホールに立った時、自分はやるべきことをやってきたと自信を持って思えるように準備してきた。あとは、戦うだけだ。」
記録、過去の称号、世界の注目。それらに流されることなく、自分のゴルフに徹するシェフラー。静かな闘志を胸に、彼は再びグリーンジャケットを目指す。