今永昇太、メジャーで輝いた1年目の挑戦と進化
シカゴ・カブスの今永昇太投手(31)は、メジャー1年目にして15勝3敗、防御率2.91という見事な成績を収めた。彼は先発ローテーションを守り抜き、勝利数と防御率でリーグ3位にランクインし、パイレーツのスキーンズやパドレスのメリルとともに新人王候補としても注目された。「投げる哲学者」とも称される今永が、アメリカでの1年目を振り返りながら、今後の夢についても語った。
異国の地で挑んだメジャー打者との対戦
9月10日のロサンゼルス・ドジャース戦では、今永は初回から強力な「MVPトリオ」に対して堂々と立ち向かった。大谷翔平を先頭に、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマンという錚々たる打者を相手に、彼は4球連続で速球を投げ込み、見事に三者凡退に抑えた。日本時代と変わらぬ力強いピッチングスタイルで、観客に勇気を与えた。
「メジャーの打者は直球を逃さないので怖いです。でも、そこで逃げたら意味がない。ボクシングで例えると、ストレートをかわしたら次の攻撃が来るのと同じ感覚です。だから、打たれても直球を捨てるわけにはいかないという気持ちです。」
異文化での挑戦と進化
また、今永はグラウンド外でも様々な挑戦を重ねている。彼はダンキンドーナツで「マイク」と名乗り、ロッカールームでは「マイク今永2世」というユーモア溢れる名札を使うことで、地元のファンやメディアから愛される存在になっている。
「ベイスターズ時代の経験が大きいです。ロペスやエスコバー、オースティンのような選手たちは、僕らに『おはようございます』と言って、日本文化を尊重してくれました。だから僕も英語を使って彼らに話しかけようと努力しました。そういった姿勢が大切だと感じています。」
彼は生活の中でも積極的に挑戦を続けている。アメリカでの生活が半年を過ぎた頃、通訳に頼らず、ホテルで自ら電話をかけ荷物を回収する挑戦をした。
「電話は一番怖いんです。顔が見えないですからね。でも頑張って、『I have big luggage』とか言って、フロントにお願いしたら、予想以上に英語が返ってきました。とりあえず『イエス』と言ったら通じたので、ほっとしました(笑)。」
メンタルの成長と視野の広がり
日常生活でもマウンド上でも変化を恐れず、新たな経験を積み重ねることで、彼の視野は広がっていった。特に「外国人に対してビビらなくなった」と語る今永は、周囲の目を気にしすぎることなく、堂々と自分の意思を伝えるようになったという。
「アメリカ人は僕が思っているほど僕を見ていないということに気づきました。英語を間違えても誰も気にしていない。最初の頃は困ったら『イエス』や『グッド』で済ませていたけど、今は『ん?』とか『もう1回』と言えるようになった。それが大きな成長です。」
メジャーでの成功と未来への展望
今永はリーグ3位の15勝と防御率2.91で、メジャー1年目を完走した。過酷なスケジュールや長距離移動にも耐え、試合の合間には自分なりのリフレッシュ方法を見つけてきた。
「観光はしませんが、ナイターの日は午前中にその場所にしかないお店に行ったり、移動のバスに乗る前にカフェを探して動画を見たりして、ちょっとした楽しみを見つけています。」
そんな今永が抱く未来の夢は、先輩たちが切り開いた道をさらに広げ、次世代へとつなげていくことだ。
「僕がこうして挑戦できるのも、かつて日本人がメジャーで活躍できるのかと疑問視された時代に、結果を出してくれた先人たちのおかげです。彼らがいたからこそ、今の僕がある。だからこそ、次世代の選手たちが高い評価を得られるように、自分も努力を続けなければならないと感じています。」