ウィリアム・バイロンの台頭とジェフ・ゴードンの黄金時代の比較
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ヘンドリック・モータースポーツのオペレーション副会長を務めるジェフ・ゴードンは、かつてデイトナ500を2度制した最年少ドライバーだった。しかし、その記録は27歳のウィリアム・バイロンによって更新された。バイロンは、1990年代にゴードンが成功を築いたヘンドリック・モータースポーツの伝統的なカーナンバー「24」を操り、日曜日のデイトナ500で2年連続の優勝を果たした。
ゴードンはバイロンの記録更新について質問され、「彼が私の記録をすべて塗り替えてくれたら嬉しいよ」と語った。「私は彼を全面的に応援している。」
1990年代、ゴードンとクルーチーフのレイ・エバーハム、そしてヘンドリック・モータースポーツはNASCAR史上でも屈指の王朝を築いた。1995年から1998年の間にゴードンは40勝を挙げ、1997年のデイトナ500優勝、そしてウィンストンカップ(現カップシリーズ)で3度のタイトルを獲得。1999年シーズンの終盤、エバーハムがチームを離れるまで、彼らの支配は続いた。同年、ゴードンは2度目のデイトナ500制覇を達成した。
26年後、ゴードンの髪には白髪が混じり、レーシングスーツを脱いでベストを着るようになった。2016年にはデイル・アーンハート・ジュニアの代役として数レースに出場したが、現在はヘンドリックのドライバーたちを支える立場に回っている。レース後の記者会見でも、今や勝者の隣に座る役割だ。
バイロンとフーグルの新たな王朝の可能性
ウィリアム・バイロンは、NASCARの新時代を牽引する存在になりつつある。その相棒として名を馳せているのが、クルーチーフのルディ・フーグルだ。
90年代にゴードンとエバーハムが築いた成功に匹敵するコンビは、ジミー・ジョンソンとチャド・クナウス以外には存在しないといえる。しかし、バイロンとフーグルが「レインボー・ウォリアーズ(ゴードンのチームの愛称)」に迫る可能性は十分にある。
バイロンとフーグルの関係は2016年のNASCARクラフツマン・トラックシリーズから始まった。この年、バイロンは7勝を挙げ、才能を証明。2018年にはカップシリーズの「24号車」に昇格し、2020年8月のデイトナでカップシリーズ初勝利を挙げた。当時のクルーチーフはクナウスだった。
2021年シーズンからはフーグルとタッグを組み、ホムステッド・マイアミ・スピードウェイで2勝目を飾ると、ポイントランキングで自己最高の10位を記録。2022年以降のネクストジェン・カー時代では、2度のチャンピオンシップ4進出を果たし、ポイントランキングでは最低でも6位以内を維持している。
2024年のデイトナ500で優勝したバイロンとフーグルは、日曜日のレースでも再び勝利を収めた。バイロンは史上5人目となるデイトナ500連覇を達成。現代のスーパースピードウェイレースの性質については賛否があるが、ハーレー・J・アール・トロフィーを2度獲得するのは偶然ではない。
現代NASCARにおける「王朝」の定義
NASCARの現行チャンピオンシップ制度は以前に比べて複雑化しており、最速のチームであっても毎年チャンピオンシップ4に進出するのは容易ではない。そのため、単に「ビル・フランス・カップ(シリーズタイトル)の数」で王朝を測るのではなく、「レース勝利数」と「チャンピオンシップ4への進出回数」で評価するのが妥当だろう。その点で言えば、近年の「24号車」チームの実績は目を見張るものがある。
バイロンとフーグルの2022年から2025年デイトナ500までの成績は、ゴードンとエバーハムが築いた90年代の支配には及ばない。しかし、それに匹敵する成績を残したのは、2006年から2010年にかけてのジョンソンとクナウスだけだ。
「彼の成長の速さと勝利の積み重ねについては、いつも話しているんだ」とゴードンは語る。「彼はエリートレベルで結果を出し続けている。そして、この男(フーグル)がその成功の大きな要因だ。ルディは素晴らしいクルーチーフだ。ウィリアムのような才能と、彼のような優秀な指導者が揃えば、成功するのは当然だよ。」
バイロンとフーグルのコンビが今後どこまで進化するのか、NASCARファンの注目が集まっている。