史上最年少のセルビア人グランドマスター、シェリダンで地元の24人に完勝

21歳のセルビア人チェス選手ルカ・ブディサヴリェヴィッチは、同国史上最年少のグランドマスターとして注目を集めている。グランドマスターとは、世界チャンピオンを除けばチェス界で最も権威ある称号であり、現在その称号を持つプレイヤーは世界に約1,850人しかいない。
そんな彼が先週末、ワイオミング・コミュニティ財団主催のオープン大会に参加するため、アメリカ・ワイオミング州のシェリダンを訪れた。大会の賞金総額は9,000ドルにのぼり、地元のチェス協会が主催するイベントとしては大規模な部類に入る。
大会前には、地元のチェスファンにとって特別な催しも開催された。ブディサヴリェヴィッチはシェリダンの24人のプレイヤーと同時対局を実施。その様子は、まさにエリート選手と地域コミュニティの交流の場となった。
ミズーリ大学のトラックジャケットにスウェットパンツというラフなスタイルで現れたブディサヴリェヴィッチは、同大学で学びながらパンアメリカン・カレッジ選手権の王者としても知られている。当日は次々と盤面を巡回し、全24局で勝利を収めた。
シェリダン高校の生徒であるダニエル・フープスは最も粘り強く対局し、30手以上を耐え抜いたと、シェリダン・チェス協会のブライアン・キュール会長は語った。「24人中多くは子どもたちでした」とキュール氏は話す。「グランドマスターと対戦できるなんて、普通は一生に一度あるかないかの経験です。地域のチェス振興や子どもたちの成長にとって非常に意義深い機会になりました。」
正式なトーナメント戦は金曜から日曜までの3日間にわたり開催され、同協会は過去4年間連続でこの大会をシェリダンで実施している。キュール氏によれば、主な目的はワイオミング州の若者たちにチェスの魅力を伝え、論理的思考力や集中力を養う手段として広めることにあるという。
また大会前には、ブディサヴリェヴィッチがシェリダン市内の2校を訪問し、チェスの魅力について語ったほか、目隠しでの対局パフォーマンスも披露した。彼の訪問は、競技としてのチェスだけでなく、教育的価値を地域に示す貴重な一幕となった。